経営企画部の片岡です。
グローバル企業SAPの久松さんからファシリテーションを受け、NTIには次の3点の本質的な課題があることが分かってきました。
●営業による案件獲得
●業務プロセスの統合化・スムーズ化
●社内コミュニケーションの活性化
→さあ!DXの始まりだ!(社内DX推進プロジェクトVOL.3)
2021年4月。
プロジェクトメンバーは、担当業務やロケーションを元に3つのチームに分かれ、これらの課題の検討に入ることになりました。
コミュニケーションの課題は解決できるのか?
HR総研「社内コミュニケーション」に関するアンケート調査 によると、
【社内コミュニケーションの現状に課題を感じる企業は8割、企業規模によらず】という結果が出ているようです。
【「社員間のコミュニケーション不足は業務の障害になる」と認識する企業は9割超】であり、【「特に障害を受ける業務は「部門間・事業所間の連携」が7割超で最多】と考えられているようです。
非常に高いレベルでコミュニケーションの課題が把握されている一方、思うような解消方法は見出せていない現実があります。
【最も多い社内コミュニケーション手段は「メール」が8割】
【「効果を実感した施策」は「経営層との定期面談・ミーティング」で4割】
【新たに実施したい施策は「特にない」が4割、課題を感じるも行き詰まり感が漂う】
【実施している施策は「従業員アンケート」が最多、中小企業ではイベント系の施策に積極的】
私の個人的な感想ですが・・・
プライベートでメールをコミュニケーション手段にしている人は、もう、かなり少ないのでは・・・世間との隔たりを感じます。
経営層との面談は確かに効果がありそう!ですが、社員間のコミュニケーションも活性化しないといけませんよね。
それなのに、新たに実施したい施策は「特にない」となると、もう、涙が出そうです。
イベント系施策を頑張っている中小企業にエールを送りたい気持ちになります。
コミュニケーションの課題はとても難しいです。
何より、売上に結びつかない。(お金にならないことはやりたくない)
社員が「必要だ」と声を上げない。(仕事が優先だし、人によって必要度がまちまち)
コミュニケーションのハブとなる中間管理職が多忙すぎる。(そんなこと検討してる場合じゃない泣)
施策を打っても効果が可視化されず、しかも効果が出るまでに時間が相当かかる。(それを評価する制度が無い)
コミュニケーションの課題は、本腰を入れて対応するには、曖昧過ぎるのです。
NTIのコミュニケーションの課題を紐解く。
NTIは東京・初台に本社を構えており、大阪にも西日本支社があります。
20名程の支社なのですが、大きなお客様を擁しておりNTIの中でも重要なポジションにあります。
コミュニケーションチームは、西日本支社から営業・事務の2名、初台本社からSE2名という構成になりました。
本社と西日本支社の連携が円滑とは言えず、西日本支社メンバーのコミュニケーションに関する課題感が高かったためです。
久松さんのファシリテーションで、まずはコミュニケーションの課題を深掘りするための議題が出ました。
★議題①★
部門間連携ができておらず、社内の風通しが悪いと感じる課題をできるだけ多く(一人5個以上)書き出してください。
各自が課題を書き出し、内容が共通するものを集めグループ分けして、以下の通り名前を付けました。
- 拠点を超えた連携が少ない
- 業務情報の部署間共有不足
- 他部署の状況が分からない
- 業務の相談窓口が個人になっている
→業務上必須の全社情報共有の課題 - 個人単位での業務
- 他部門の取り組みを知らない
- 他部門の稼働状況が見えてこない
→情報不十分なため効率性が損なわれた課題 - 一方通行の依頼をすることがある
- 分からないことを相談せずほっておく
- コミュニケーションツールの不足
- プロジェクト管理ツールの不足
→ツールや場の設定の問題 - 業務共有がされない
- 新人への配慮がない
- 拠点を超えた連携が少ない
- 全社施策の優先順位が低い
→文化的な背景の問題
NTIのコミュニケーションの課題はどうやら「閉鎖的な文化」や「業務の属人化」と関係がありそうです。
また、これら課題に対応する(若しくは対応しない)ためには、優先順位を付け「最重要課題」を明確にする必要があります。
★議題②★
「重要性」と「緊急性」を軸としたマッピング図に課題を配置しましょう。
重要かつ緊急と思われる課題はツールや場の設定の問題であることが見えてきました。
一方、重要ではあるが緊急ではない、つまり、対応してもすぐには変わらない課題として文化的な背景の問題と業務情報の部署間共有不足が上がりました。
とは言え、特に業務情報の部署間共有不足は放ってはおけない重要な課題でしょう。
★議題③★
最重要課題が引き起こしている障害と、解決する事で得られる効果を検討しましょう。
全社施策として課題に対応するには、経営を説得し施策実施の承認を得る必要があります。議題③を検討し、見える化することで説得材料とします。
NTIのコミュニケーションの最重要課題 |
「社内の業務が俗人化し閉鎖的であることで部門・拠点をまたいだ情報共有が不十分であり、業務効率やお客様対応、場所を選ばない業務の遂行に支障が出ている。また、自社に対する親密さをそいでいる。」 |
種別 | 課題によって引き起こされる障害 | 障害の規模 | 解決することで想定される効果 |
情報共有 | 相談や協力要請などが上手く機能しておらず、情報共有が出来ていないことから二重作業が発生している。また、情報共有の仕組みが確立していないことから情報の検索も難しい。 | 非効率な業務による複数担当の二重作業が発生し、稼働が増大している。 (規模:中) |
(業務効率化) 二重作業や二重対応を無くし業務を効率化することで、新規事業の検討やお客様提案に時間を費やす。 (働き方改革) 情報共有やコミュニケーションをはかる場や仕組みを設けることでチームワークが向上し、勤務場所に依らず円滑に業務を行うことにより会社全体の生産性を向上し、ワークバランスを重視した働き方ができる。 (NTIの成長) チームワーク・エンゲージメントが向上し、一枚岩の対応ができる。稼働削減 及び 顧客満足度の向上。 |
コミュニケーションの場 | コミュニケーションの場が無いため人間関係が希薄になり、チームワークが欠如し一枚岩でのお客様対応が阻害されている。在宅勤務がメインとなり、より意思が伝わりづらくなっている。 | 非効率な業務による複数担当の二重作業が発生し、稼働が増大している。 (規模:中) コミュニケーション不全による問題回避の機会損失 (規模:中) |
NTIの場合、元来がアットホームな社風ということもあり、業務の属人化の問題はあるものの、部門内のチームワークは悪くは無い認識でした。
しかし、コロナ禍での在宅勤務によって部門内のコミュニケーションさえ大きく減ってしまい、この状況がニュースタンダードになると思うと不安が残ります。
当時のコミュニケーション手段として、メールだけでなくGoogleMeet、Googleチャットを用意してあり、コミュニケーションが取れない訳ではありませんでした。
それなのに、何故コミュニケーションが図られない?
在宅勤務になって失われたものは何だろう。
コミュニケーションチームは議論を続けて行きました。
つづく。